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北海道大学病院小児科(札幌市)北海道大学で最初に遺伝子治療を受けた男の子は、生後約2カ月でADA欠損症であると診断され、生まれつき欠けているADA酵素を注射で補う「酵素補充療法」を続けていた。 ADA欠損症に対しては、骨髄移植が最も確立されている治療法になる。
白血球の型が合い、なおかつ血縁者のドナーがいれば、90%以上の確率で治すことができる。 しかし、型が合う兄弟などがいない場合は、両親のどちらかから移植を受けることになる。
両親の白血球型は患者の型と2分の1しか適合していないため、成功率は50〜60%に下がり、副作用のリスクもともなう。 骨髄移植以外の手だてとしては、ADAという酵素をウシの腸管から採取して、ヒトに使ってもアレルギー反応をおこさないよう化学処理したものを注射する酵素補充療法がある。

アメリカの企業から売りだされているが、日本ではまだ医薬品として認められず、医療保険適用ではないので自費になる。 週に一度注射する一単位が約40万円と高額で、しかも患者は一生注射を続けなければならない。
「かぜや気管支炎などで病院に行ったときに、リンパ球が500〜600個しかなければ、『これはちょっと問題かな』と医師が気づくかどうか。 ひょっとしたらADA欠損症かもしれないから詳しい検査をしてみようと思われた患者さんだけが、最終的に診断まで行き着く」のが現状である。
血液中のリンパ球の数は7、8歳くらいまでの子どもで通常は一マイクロリットルあたり約40個、大人では約3000個ある。 それが、ADA欠損症の子どもではつねに1000個以下しかない。
この男の子の場合は、製薬会社が週1ドルで寄付してくれたため、1992年4月から95年8月まで毎週1回酵素を補充していた。 酵素を補うと、少なかったリンパ球が1時は約1000個まで増えたが、その後は徐々に減って500個前後になった。
学校に行くなど普通の生活は望めないことから、遺伝子治療が行われることになった。 最初の遺伝子治療は95〜97年まで1年8ヶ月をかけて計2回行われた。
治療をはじめたとき、男の子は4歳だった。 「アメリカで92年に2人の患者さんの治療を終えていて、1人は遺伝子が入った細胞が体内をまわっていることがたしかめられていたんです。
それで、米国立衛生研究所(NIH)との共同研究で、患者さんの血液からリンパ球をとりだしてからだの外でレトロウイルスベクター(遺伝子を細胞に導入するための運び屋としてはたらくウイルス)を使ってADA遺伝子を組みこみ、鴎患者さんにもどす遺伝子治療をしました。 最初は1ヶ月に1回。

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